
対して、部材に塑性変形を生じないことを要求している。
(2)船首加速度
高・中速船の運航限度を決定する要因は、船上の人間が耐えることができる加速度の大きさと持続時間であり、この限界を超えて航行することはできない。従って、対象船の使用目的により乗員、乗客の耐え得る加速度を考慮し、これに応じて荷重を設定することは極めて合理的であり、現実的な方法である。この考え方は、従来の軽構造船暫定基準やRR−11の基準案を踏襲している。図−3.1は、高速船が波浪中を航行する時に乗員の上下加速度に対する耐え得る限界について調査した事例である。縦軸は船体中央部での加速度の片振幅有義値を示している。調査の結果として、限界値は0.5Gと報告している。11)
大隅12)は、図−3.2に示すようにディープV型の高・中速艇の実船計測データを整理して、速長比と波長・船長比、加速度・波高比の関係を与えている。この関係から、設計加速度と船の長さが与えられると、同調時に対応する波高、波長、船速を求めることができる。ここで用いる加速度は、時系列データの谷から山、即ちpeak-to-peak値の有義値(1/3最大平均値)と定義する。peak-to-peak値は船底衝撃水圧
図−3.1 上下加速度と乗員の作業性に関する調査結果

前ページ 目次へ 次ページ
|

|